幕末か 2015 9 23
安全保障法制をめぐって、
国会での大騒ぎ、
国会前でのデモ隊の大騒ぎ、
インターネット世論の大騒ぎを見ると、
私は、江戸時代の幕末を連想します。
「黒船が来航した江戸の町も、あのような大騒ぎだったのだろう」と思います。
なんでもかんでも自分中心に考えてしまうと、
「これは、大変なことになる」と思ってしまいますが、
別の視点から見ると、冷静に考えられるでしょう。
同盟国のアメリカから見れば、
「アメリカが日本の戦争に巻き込まれる可能性が出てきた」と考えます。
日本人が大事に思っている「尖閣諸島」は、
アメリカ人から見れば、「単なる岩」にしかすぎません。
そんな岩を守るために、アメリカ海兵隊に死傷者が出たら、
連邦議会に「どう説明するのか」と悩むことでしょう。
だからこそ、ホワイトハウスは、
「日本と中国は、対話を重ねるべきだ」と言うわけで、
日本人から見れば、「ホワイトハウスは、弱腰だ」と思うでしょうが、
ホワイトハウスからしてみれば、
「単なる岩を守るために、海兵隊に死傷者が出たら、
連邦議会や有権者に、どう説明するか」と考え込んでしまいます。
数年前、オバマ大統領が、
「アメリカは、世界の警察官をやめる」と表明しましたが、
これは、オバマ大統領の思い付きではありません。
アメリカ国内の雰囲気を代弁したものです。
アメリカは、「内向き」になっています。
アメリカは、豊かな国です。
肥沃な大地に豊富な農産物。
さらに、シェール革命で、
世界最大の産油国になりました。
こうなると、普通のアメリカ人は、
「海の向こうの紛争には巻き込まれたくない」と思います。
アメリカは「我々は、食料も石油も豊富だから、、
自給自足も可能だ」という一国平和主義が可能になっています。
日本としては、内向きになっていくアメリカを世界に向けさせるように努力すべきです。
なぜならば、日本は、食料も石油も不足していて、
世界中から買い付ける必要があります。
その結果、日本のシーレーン(海上交通路)は、
世界最大のものとなっています。
8800億円の請求書 2014 11 30
書名 アメリカはいつまで超大国でいられるか
著者 加藤 英明 祥伝社新書
アメリカ人が、著者に、こう尋ねた。
「アメリカが中東の石油を必要としなくなったら、
今は、ペルシャ湾の自由航行を護るために、
第五艦隊を貼り付けているが、撤収することになるね。
年間80億ドル(約8800億円)も、かかっている。
アメリカが第五艦隊を引き揚げたら、
日本が、その後を引き受けてくれるかね?」
(以上、引用)
アメリカでは、時々、国防長官の交代がありますが、
誰が次の国防長官になっても、
国防予算をどう削減するかが、重要な仕事です。
一方、アメリカでは、シェール革命により、
世界最大の「産油国」になることが有力視されています。
さあ、日本は、どうする。
海上自衛隊の大艦隊をペルシャ湾に駐留させるのか。
それとも、毎年、必要経費をアメリカに支払うのか。
もちろん、サウジアラビアも、
アメリカが第五艦隊を引き揚げたら、大いに困ることになるでしょう。
なにしろ、ペルシャ湾を挟んで、
中東の軍事大国であるイランと対立しているからです。
サウジアラビアは、人口が少ないので、
どう頑張っても、軍事大国になることはできません。
もちろん、ひとつだけ方法があります。
核兵器を開発しているイランと同じように、
サウジアラビアも、核兵器を開発するか買うという方法があります。
ただし、核兵器を開発するにしても、買うにしても、
ハードルが高いものとなります。
そうなると、サウジアラビアと日本は、
ペルシャ湾をめぐって、お互いに軍事同盟を必要とする国になりますか。
アメリカは、シェール革命がなくても、
「あんな危険なところから引き揚げたい」というのが深層心理でしょう。
アメリカは、キリスト教国です。
聖書の最終章には、恐ろしいことが書いてあります。
どう読んでも、人類にとって「最終的な戦争」は中東で起こると読めます。
こうした聖書を子供の頃から読み聞かされてきたアメリカ人にとっては、
中東の石油を必要としなくなったら、早く引き揚げたい気分でしょう。
Lexus-A時代を、日本は、どう生き残るのか。
「Lexus-A」とは、 東京大学准教授の池内恵氏が作った言葉です。
これは、「League of Ex US Allies」の略であり、
日本語では、「元アメリカ同盟国連盟」だそうです。
サウジアラビア、トルコ、イスラエル、日本、さらに英国がメンバーらしい。
おそらく、アメリカ本土が攻撃されない限り、
アメリカは動かないと考えておくべきでしょう。
それが、同盟国の、いや元同盟国の心得でしょう。